豆知識

【黄泉国はどこか】古事記に記された特徴から出入り口の場所についてあらすじを用いて解説

古事記や日本書紀では黄泉国を死者の国としていますが、その詳細については語られていません。

今回は黄泉国の位置について、記紀編纂以降の学者の考察を地下説山上説の二つに分けて紹介します。

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『古事記』黄泉の国訪問譚のあらすじと日本書紀の記述

黄泉の国について語られているのは古事記と日本書紀の一書(別伝)の部分です。

 

黄泉国訪問譚のあらすじ

伊邪那美命を追って伊邪那岐命は黄泉の国に至り、殿の縢戸から入った時に伊邪那岐命は伊邪那美命に「私たちの国に帰ろう」と話し、それに対して伊邪那美命は「私は黄泉国の釜の火で煮炊きした物を食べてしまった。黄泉の神と相談してくるから決して姿を見ないように」と返した。伊邪那岐命はしばらく待っていたが、結局火をつけて姿を見てしまった。伊邪那美命には蛆がたかっており、恐ろしい姿になっていた。驚いた伊邪那岐命は急いで逃げ、途中追いかけてきた黄泉醜女に山ぶどうやタケノコを投げ、黄泉平坂坂本に至るときには桃を投げて追い払った。最後は伊邪那美命が自ら追ってきたが伊邪那岐命は黄泉平坂を岩で塞ぎ、この世界に逃げ帰った。

以上が簡単な黄泉国訪問譚のあらすじです。黄泉国がどこにあるのか検討する材料となる部分を太字にしていますので読み進めながら随時確認してください。

 

また、日本書紀の記述は基本的に古事記の内容と同じですが「黄泉平坂という具体的な地名があるわけではない」「死に直面して呼吸が止まるその際を黄泉平坂というのかもしれない」という文章が加えられています。

 

たむ
ここまで古事記と日本書紀の内容を確認できたら以下の論説に進んでください。

「黄泉の国は地下にある」本居宣長ら

まず紹介するのは本居宣長らが唱えた黄泉国は地下にあるとする説です。

以下にその根拠を示します。

①火をつけたこと→黄泉国は暗い世界ということが理解できます

②黄泉国とこの世界は黄泉平坂という坂でつながっているということ→島根県には神話に関する地名や伝承がたくさんありますが、出雲国風土記には「磯より西の方に窟戸あり。高さ広さ各六尺ばかりなり。窟の内に戸あり。人、入ることを得ず。深浅を知らざるなり。夢に此の磯の窟の辺に至れば必ず死ぬ。故、俗人、古より今に至るまで、黄泉の坂、黄泉の穴と名づく。」として、穴が黄泉の国に続いているとの記述がされています。

黄泉こうせん→中国で黄泉とは地下の死者の国を指し、現代の中国語でも死者の国を指すそうです。記紀編纂当時の日本の歴史書は古代中国の影響を受けており、地下の死者の国を表す黄泉という字を借りた可能性があります。

以上が黄泉の国が地下にあるという説の根拠です。

「黄泉の国は山の上にある」神野志隆光氏

次に神野志隆光氏が提唱する山上説の根拠を示します。

①暗くない→殿の縢戸とぢど(とびら)から入った建物が暗かったのであり黄泉国自体が暗いとは言えないということです

②坂本という語→古代は山の麓を坂本といった。例として比叡山の坂本が挙げられます

③死者は山に行くという信仰→死者の霊は山に行くとする山上他界説は日本でも一般的であり、恐山などが霊山として知られています

参考文献『古事記の世界観』

 

以上,、黄泉国は地下にあるという説・山上にあるとする説を紹介しました。

黄泉の国と横穴式石室の関係についてはこちらのページをご覧ください。

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