伊勢神宮には14の別宮がありますが、そのうちの一つ「伊雑宮」が三重県志摩市磯部町に存在します。
この周辺には磯部神社や佐美長神社が鎮座しており、現在でも正月には三社詣をするのが習わしになっています。今回はこれら三社を順に参拝する「三社詣」の由来についてお話します。
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磯部町の神社 三社の紹介
伊雑宮
伊雑宮は「いざわのみや/いぞうぐう」と読み、内宮の別宮です。
伊雑宮は今から約2000年前に、倭姫命が内宮に供える神饌を収穫する土地を探した際に、志摩国の神である伊佐波登美命が神殿を建てたことが創建とされています。現在も御料田が存在しており神宮では神饌として供えられています。
伊雑宮は皇大御神の御魂をお祀りしている非常に格式高い神社です。
佐美長神社
佐美長神社は伊雑宮の所管社です。
佐美長神社では大歳神を御祭神としていて、鶴が稲穂を咥えてきて落としたという伝承から「穂落としさん」の愛称でも親しまれています。
磯部神社
磯部神社は49柱もの神を御祭神としています。
創建は明治時代で、伊雑宮と深い結びつきがあったとされています。
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三社詣りの起源・由緒は?
ここからは伊雑宮→磯部神社→佐美長神社の順に巡る「三社詣」の由来について説明していきます。
磯部町で三社詣が始まった理由を紐解く鍵は磯部神社にあります。
明治時代以前、全国には大変多くの社や祠が点在していました。明治政府は増えすぎた神社を減らすために、ひとつの町に1つの神社を基本とする神社合祀政策を実施します。
これに反対した者もいましたが、最終的には磯部町にあるほとんどの祠に祀られている神が新しく創建された神社に合祀されました。この神社こそが磯部神社です。また、昭和30年には町村合併に伴い度会郡神原村成基地区の産土神を神原神社から賜り合祀しています。
磯部神社の御祭神の多くは天つ神によって構成されていますが、これは伊勢神宮の鎮まる三重県南部では天つ神が祀られることが多かったことが理由として考えられ、このことからも磯部神社は多くの磯部町の祠に祀られる神を合祀したことが伺えます。
これらの理由から、磯部町の神様すべてに御挨拶するためには有力な神社だった伊雑宮・佐美長神社に加えて磯部神社を参拝するのが良いとなったのです。