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ここまでのあらすじ
素戔嗚尊の子孫である大己貴命(大国主命)は少彦名命と共に国造りを始めました。
途中、少彦名命が常世の国に帰ってしますという事情はありましたが、大国主神の幸魂,奇魂とされる大物主神の登場により何とか国造りを完成させることができました。
大国主神の国譲り
さて、大国主命による国造りが終わるころ、高天の原(天上の世界)では高皇産霊尊が葦原の中つ国(この世界)を譲ってもらおうと計画します。
しかし、天穂日命は大国主命に媚び、役割を果たすことはありませんでした。
しかし、天稚彦命は大国主命の娘 下照姫を妻にしており、全く高天の原に帰って来ませんでした。
これを不審に思った高皇産霊尊がキジを状況確認に遣わすと、
天稚彦命はこのキジを葦原の中つ国に降る際に高皇産霊神から預けられて弓矢で殺してしまうのでした。
この矢が高天の原まで届き矢に付いた血を見た高皇産霊尊は、その矢を下界に投げ返すと、矢は天稚彦命に命中し死んでしましました。
この2柱は大国主命とその子 事代主神と国譲りの交渉をし、見事役割を果たしました。
またある説では、
交渉にきた経津主神と武甕槌神に対し
こう言うと、経津主神と武甕槌神は一度 高天の原に帰り、
高皇産霊神から「現世の政治は天孫に行わせるが、大国主には神事を任せよう。そのために、出雲の国に立派な社(天日隅宮=出雲大社)を造ってやる」という伝言を受け、これを大国主命に伝え、交渉をさせたとされています。
メモ
大国主命が神事を任されるようになったことは、神々の最高責任者としての地位を得たとも考えられ、ここから神無月には全国の神が出雲大社に集まるという思想につながります。
古事記との違い
日本書紀では経津主神と武甕槌神が交渉を行ったとされていますが、
古事記では武甕槌神しか登場せず、経津主神に関する記述はありません。
これを受けて高皇産霊神は天照大御神の孫にあたる瓊瓊杵尊を葦原の千五百秋の瑞穂の国(この世界)の君主として派遣しました。
このとき瓊瓊杵尊には三種の神器(八坂瓊曲玉・八咫鏡・草薙剣)を持たせ、
また天児屋命、太玉命、天鈿女命、石凝姥命、玉屋命ら5柱のお供をつけました。
(天皇の位は当然、永遠に栄えるでしょう)
天照大御神と高皇産霊神は瓊瓊杵尊らに多くの神勅を下します。
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古事記との違い
古事記では天孫降臨の指揮を行ったのは、天照大御神と高皇産霊神が共同で行ったとされていますが、
日本書紀の本文では高皇産霊神が単独で行ったとされています。
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天孫降臨
さて、瓊瓊杵尊らが下界に降ろうとするとき、1柱の大男が現れました。
この神の名を猿田彦神といいます。
猿田彦神は高天の原からこの世界への道案内を担当することになりました。
葦原の千五百秋の瑞穂の国に着くと、瓊瓊杵尊は大山祇神の娘 木花開耶姫という たいへん美しい女性を見つけます。
瓊瓊杵尊が大山祇神に木花開耶姫を娶りたいと話すと、大山祇神は大量の食べ物と共に木花開耶姫に加えて姉の磐永姫を差し出しましたが、磐永姫はたいへん醜かったため、瓊瓊杵尊は木花開耶姫のみを娶りました。
すると大山祇神は「木花開耶姫はたいへん美しいが、桜の花のように儚い。もし、磐永姫も娶っていれば岩のように永遠の命を得ていたでしょう」と言いました。
これが天皇の命が有限である原因です。
木花開耶姫の出産
この後、木花開耶姫は妊娠しますが
瓊瓊杵尊は「一晩しか寝ていないのにこができるなんておかしい」と言い、お腹の中の子を自分の子として認めようとしませんでした。
すると、木花開耶姫は「もし、お腹の中の子が天孫の御子ならば火の放たれた産屋の中でも生まれるでしょう」と誓約をしました。
このとき火が付き始めた時に生まれたのが火闌降命
火が盛んな時に生まれたのが火明命
次に生まれたのが彦火火出見尊です。
木花開耶姫はこうして無事に出産することで瓊瓊杵尊の子であることを証明したのでした。
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山幸彦と海幸彦
海幸彦と呼ばれ、海の業に長ける火闌降命(古事記では火須勢理命)と
山幸彦と呼ばれ、山の業に長ける彦火火出見尊は道具を交換して狩りに出かけましたが、
お互いに成果がないばかりか、山幸彦は兄 海幸彦の大事な釣り針をなくしてしまいます。
海辺で途方に暮れていると、
老爺がやってきて、「心配するな。わしがどうにかしてやろう」
こう言って無目籠という船をつくり、山幸彦をその中に入れて海に沈めました。
海底にたどり着くとそこには立派な宮殿がありました。
しばらくすると、宮殿から海神の娘の豊玉姫という美しい娘が出てきて、宮殿に招き入れられることになりました。
宮殿では海神にたいそう篤くもてなされ、かくかくしかじか ここにやってきた事情を説明すると、
鯛がその釣り針をもっているとの情報があり、無事に釣り針を取り戻すことができました。
そのまま3年の月日が経ち
ここでの暮らしは楽しいものだけど、そろそろ地上に戻らなければならないなぁ
すると、海神は潮満珠と潮涸珠を山幸彦に授け、
「これらを使えば、きっと兄は服従するでしょう」と言いました。
地上に帰ると、山幸彦は潮満珠と潮涸珠を用いて兄を従わせました。
ある時、海から豊玉姫がやってきて「私はすでに妊娠しており、もうすぐ生まれる予定です。産屋を作ってください」と話します。
山幸彦はこれに従い産屋を建て待っていると、今度は「私が出産している間、絶対に中を見ないでください」と言いました。
しかし、山幸彦はこの約束に背いてのぞくと、中には龍の姿になった豊玉姫が出産をしており、
怒った豊玉姫は、生んだ子を草にくるんで置いて帰ってしまうのでした。
この子が鸕鶿草葺不合尊です。
またある説では、
山幸彦が産屋をのぞくと、中にはサメの姿をした豊玉姫がおり、
怒った豊玉姫が海に帰った後、乳母として妹の玉依姫を派遣したとされています。
メモ
鵜戸神宮にある洞窟で出産をしたと伝えられています。
成長した鸕鶿草葺不合尊は、叔母に当たる玉依姫を娶り、
彦五瀬命、稲飯命、三毛入野命、神日本磐余彦尊が生まれました。
ひとまずここで現代語訳はおしまいにしますが、この後は天皇紀が続きます。