多くの神社の鳥居の左右には狛犬が置かれており、また神社によっては鹿や猿が置かれている場合もあります。
これらの動物は神使と呼ばれており、多くの場合その神社に祀られている神様と関係の深い動物が用いられています。
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目次
神社の狛犬はエジプト、高麗がルーツとされていて魔除けの意味を持つ
狛犬の起源については諸説ありますが、一説によるとエジプトが起源であるとされています。エジプトの他にも世界各地にはライオンが現れる神話が多く存在しており、神域を護るための守護神としてライオンをモチーフとした似た生き物の像を置くことがあったと言われています。エジプトのスフィンクスもライオンをモチーフにしてつくられたものであると言えるでしょう。
この思想が中国をはじめとした東アジアにも伝わり、容姿を変えて皇帝の墓や屋敷を守り、魔よけをする霊獣として広く認識されるようになりました。
日本では平安時代に入ると枕草子や禁秘抄にも現れるようになり、 宮中でも魔除けのために取り入れられたことが分かります。
「狛犬」という語については「魔を拒む」が転じたという説や、古代朝鮮半島の国である「高麗の犬のような生き物」が転じて狛犬と呼ばれるようになったという説が知られています。
狛犬は角の有無や左右の口で阿吽の違いがあり、狛犬・獅子の対で構成される
上にイラストを貼っていますが、多くの場合狛犬には左右で見た目の違いがあります。具体的には角の有無や口の阿吽の違いです。
私たちは日常的に左右あわせて狛犬と呼んでいますが、実はそれぞれ狛犬・獅子という異なる生き物で構成されているのです。
狛犬 | 獅子 | |
---|---|---|
位置 | 神前向かって左側 | 神前向かって右側 |
角の有無 | なし | あり |
口 | 閉じている | 開けている |
この違いは一般的な例であって、すべてに共通しているということではありません。
【神使とは】神様の使いである動物の種類と一覧〈稲荷神と狐/武甕槌神と鹿など〉
ここまで狛犬について紹介してきましたが、神社によっては代わりに狐や鹿が置かれている場合があります。
これは御祭神の使いである神使が用いられているからです。
神名または神社名 | 神使 |
---|---|
稲荷神/ウカノミタマ神 | 狐 |
オオクニヌシ神 | 鼠 |
オオモノヌシ神 | 蛇 |
タケミカヅチ神 | 鹿 |
熊野権現 | 烏 |
三島大社 | 鰻 |
日吉神社 | 猿 |
以上が神様と神使の一覧です。この他にも各地に様々な信仰がありますので調べてみると面白いです。
さて、ここからは神様と神使との間にどのような関係があるのかを紹介します。
穀物の神様である稲荷神は狐を神使(眷属)をする
全国には稲荷社と呼ばれる神社がたくさんあり、伏見稲荷大社をはじめとして商売繁盛の神様として広く崇敬されています。稲荷社の御祭神の呼称は神社ごとに様々ですが、多くの場合はウカノミタマ神やウケモチ神、稲荷神とされています。これらの神が商売繫盛の神様として崇敬されているのは、もともと食物を掌る五穀豊穣の神として崇敬されていたことが転じたからであると言われます。
さて、稲作のほか穀物を育てる時には古くからネズミの存在に悩まされてきました。ネズミ等の害獣から穀物を守る際に重宝されたのが狐であり、五穀豊穣の神とはセットで考えられるようになりました。これが狐が稲荷社の神様の神使とされる一つ目の説です。
また、食物に関する神は御食津神とも呼ばれます。「ケツ」という部分が「キツネ」につながるとするのが2つ目の説です。
明確な理由は分かっていませんが、食物の神と狐は近い関係にあり、神使と認識されるようになったということです。
春日大社や鹿島神宮の御祭神の武甕槌大神の神使は鹿
古事記における国譲りの段にて活躍したタケミカヅチ神に対し、アマテラス大神の命を伝えたのがアメノカク神という鹿の神とされています。
また、春日大社を創建する際にも鹿島神宮の御分霊を鹿の背に乗せて移動したという逸話が残っていることから鹿がタケミカヅチ神の使いと考えられるようになったとされています。
鹿島神宮には鹿園があり、また春日大社にも多くの鹿がおり、今でも非常に大切にされています。